ヒマラヤ・ランタン谷・ヤラピーク山行(1)

1日目・2日目:カトマンズからシャブルベシ

12月4日からネパールヒマラヤの山を目指す旅に出た。初めてのヒマラヤなので、まずはそれほど難しくなさそうな、ランタン谷のヤラピーク(Yala Peak, 5500m)を目指すことにした。そこで観たものやスケッチをもとに、次の個展に向けて制作をする。今回の旅行は「ワンダーズアドベンチャー」で手配した。ここはヒマラヤ専門で信頼できるガイドとつながりがあるところと、自分の好きなように日程が組めるところがよかった。

今回のガイドはシェルパのダ・デンディ氏。エベレスト、マナスルなどの8000m峰に何度も登頂しているスーパーシェルパで、日本人を何人も8000m峰に連れて行っている人である。今回は5000mを越える山(トレッキングピーク)への登山も入っているので専門ガイドとポーターが必須だった。

次の日はカトマンズからシャブルベシまで7時間のバス移動。カトマンズから北方向に走るのだが、全般的に山道で高速道路はない。途中からインド音楽と同じように歌って踊るネパール音楽の映像が流される。

山道を走っていると時々村が現れるが、そこの人たちの家に車は見当たらない。完全に車社会になっている日本の田舎とは違うようだ。町でも農村でも、犬と鶏はどこでも放し飼いだ。

シャブルベシは川沿いにロッジが建ち並び、日本でいうと温泉街っぽい雰囲気である。泊まったロッジでは中学・高校生くらいと思われる子供たちが接客していて家族経営のようだ。

3日目:シャブルベシからラマホテル

朝8時、シャブルベシから歩きはじめる。少し歩くと、ダムか発電所を作っていると思われる工事現場が現れる。シェルパによれば、数年の内にこの先のランタン村まで道がつながって車で行けるようになるという。ランタンは今はシャブルベシから歩いて丸2日かかるのが、その先のキャンジンまで1日で行けるようになるかもしれない。ランタン谷のピークは行きやすくなるが、雨季になれば土砂崩れなどですぐ道は壊れるし、これを書いている時(2024年1月上旬)には能登半島で大地震があったが、ネパールも地震が多い国で、2015年にはランタン谷を襲う大地震があった。そうなればその道路も大きな被害を受けるだろうし、そもそも維持にものすごいお金がかかる。

工事現場を過ぎてからは森の中を歩く。岩壁にミツバチの巣が張り付いているのが見えたり、白い猿の群れが上の方でガサガサやっていたりする。時々、荷物を運ぶロバの隊列が降りてくる。この辺りの風景は、日本の樹林帯の登山道と似通っている。だいたい1~2時間歩くごとにロッジが現れるので休憩場所には困らない。牛やヤギ、ヤクも放牧されている。

6、7時間歩いて宿泊地ラマホテル(2480m)に到着。小さい宿が数軒あり、どれも設備は木造で古そうだった。泊まったロッジにはダライ・ラマの写真やチベット文字の布などが飾られ、チベット系の人が経営していることが伺えた。この辺りはまだ樹林帯で、空気もそんなにカラカラではないし薄い感じもしない。

ちなみにラマホテルの手前のリミチェでは、その先の雪をかぶった峰々が見えてくるようになり、否が応にもワクワクし始める。

次の日はランタン谷の中心となる村であるランタンまで。途中で樹林帯から低いシャクナゲや山椒の木が主になり、やがて視界が開けてくる。山椒は高地に育つ作物なので、うどんなんかに振りかけて食べれば高山病に効くらしい。進行方向の左側(北側)に、ランタン谷の主峰、ランタン・リルン(7234m)が見えてくる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です