ヒマラヤ・ランタン谷・ヤラピーク山行(2)

4日目:ラマホテルからランタン

ラマホテルから6時間くらい歩いてランタンに到着する。ランタンはランタン谷の主峰ランタン・リルンのだいたい真南にあり、晴れていればその雪をかぶった姿がよく見える。この地域では最大の集落だが、2015年の大地震で壊滅的な被害を受け、今の村はそれまであった場所の少し奥に再建された。私がランタンに入ったのは12月7日だったが、そのちょっと前にランタンから上では雪が降ったらしい。到着時にはほぼ雪はほぼ溶けていて、ルート上にも雪はほとんど見なかった。

森林限界を超えてきてから体感するのは、「(12月なのに)太陽の光がとてつもなく熱い」ということである。事前に聞いてはいたが聞きしに勝るものだった。直射日光の下では日焼け止めをしないと顔が黒くなるし、サングラスしないと目が危険である。とはいえ、日陰に入ると3000mを越える高度で空気は冷たい。まるで夏と冬が同居しているような感じだ。また、視界が開けてくると、両側の斜面に滝がかかっているのが見えてくる。日本ならちゃんと名前がついて観光名所にもなりそうな立派な滝が何本もかかっているが、ネパールでは特に名前も付いていない。1月くらいになると氷瀑になってアイスクライミングができるようになるらしい。

森林限界近くになってくるとシャクナゲや山椒の木が多い疎林になる。高所に生える山椒の実は食べると高山病予防になるらしい。

ランタンでのチベット仏教法要

私たちがランタンに着いた日には、偶々チベット仏教の偉いお坊さんがカトマンズからヘリコプターで来ていて、2015年の大地震の犠牲者を追悼する会が開かれていた。シェルパも仏教徒なので、その案内で参加してみることにした。日本で言えば公民館みたいなところに村人が大勢集まり、偉いラマ僧が前で読経している。

こういう時に子供達がおとなしくしてられないのは万国共通らしく、前に座っている母親の周りで騒いだり、公民館の後ろの方で走り回ったりしている。途中で中の電球が突然消えてしまい、地元の人が天井の配線を修理し始めたが、それが偉いラマ僧のちょうど横だったので、厳かに読経している真横で男がカチャカチャやっているというシュールな状況になった。また、ラマ僧が読経しながら液体を何かに注ぐ儀式をしていたのだが、手に持っていたのはペットボトルだった。ペットボトルかよ!(もう少しちゃんとした容器を用意したほうがいいのでは?)と心の中で突っ込んでおいた。前に座っていたお母さん方も、スマホでラマ僧を撮ってすぐSNSにアップしたりしていて、「こういうのでいいんだよ」というという感じである。

そうこうしているうちに突然お菓子が配られ始めた。最初はココナッツクッキーで、みんなはそこから欠片を少し取って周りにまいてから食べ始める。私もそれにならってみた。その後、ミカン、リンゴ、ツァンパなどなど、ラマ僧が読経している中でみんな騒がしく食べている。

その後、公民館を後にして、偉いラマ僧に会えるということで、お坊さん達の泊まっているロッジに向かう。20分くらい待った後、案内されてまず白布に包んだお布施(500nrp)を別のお坊さんに渡し、ラマ僧の前に行っておじぎすると、ラマ僧が何か唱えながら赤い糸を首に掛けてくれて終了。この赤い糸はお守りになるらしい。その後の登山の安全のためにこれからずっと首に掛けていくことにした。

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