ヒマラヤ・ランタン谷・ヤラピーク山行(4)

7日目:キャンジンからヤラカルカ

朝キャンジンを出発する。この日は「シェルパイスティ」というシェルパ族の朝食を食べる。山椒とか野菜がたくさん入ったうどんのようなもので、すごく気に入ったのでこの日以降朝食は全部これにした。出発してから、途中キャンジン・リ、ツェルゴ・リへ行く道と分かれ、ツェルゴ・リの南東斜面を回り込むようにつけられた道を進む。何回か凍った沢を越える所があって危険なのはそのくらいだった。斜面にはところどころ放牧されているヤクが見える。休憩中にバナナとかミカンを食べたが、その皮を岩の上とか分かりやすいところに置いておくと家畜が食べに来るという。実際置いておいて、後日帰りに通りかかったらなくなっていた。12月の4000mを超える場所でも雪はあまりなく、登っている間は太陽に照らされていると暑いくらいで、それでいて空気は冬らしく冷たいので変な感じだ。

6時間くらい歩いたところで宿泊地のヤラカルカに到着。石囲いが点在し、まあまあ平坦な平原である。この日テントを張るのは私たちのパーティーだけだった。

テントを立てて昼食を摂ったりなどしていたが、この頃から急に寒気を感じるようになった。登っている間、太陽に照らされて暑いくらいだし、運動中なので体が温かかったから勘違いしてしまったが、キャンプ地に到着したらちゃんとダウンの上下を着て寒さ対策をする必要があった。それを怠ったせいで体が冷えてしまって、風邪の症状が出たようだ。こうなっては仕方ないので、終始温かくしながら回復を祈って休んだ。

8日目:ヤラピーク~キャンジン帰還

翌日、とりあえず行けるところまでということでヤラピークまで登り始める。カルカから上の地面は八割くらい雪に覆われているが、薄いので登山靴で歩く分には何の支障もない。ポーターに至ってはスニーカーみたいな靴で歩いている。木は一本もなく、積雪が十分にあればスキーもできそうだ。

ヤラカルカからは、目標のヤラピークは頂上部分だけ岩場なのが見える。そこを目指して見渡す限りの雪原をひたすら上がっていく。危険なところはないが、4000mを超える高地な上に風邪引きなのでペースは遅い。結局、時間と体調を考えて5000mくらいの地点で引き返すことにした。折り返し地点で何枚か鉛筆でスケッチをした。

下りは速いし楽だろうと思ったが風邪の影響が思いのほか重く、急斜面の下りで踏ん張りが効かず何度も転げ落ちそうになった。日本で登山中に風邪を引いたことなどなかったので、体調を崩すとこうなるのだ、という経験にはなった。小刻みに足を運ぶやり方で安定して降りられるようになった。キャンジンに到着すると、呼吸も楽になった。翌日から帰りでひたすら下りになるので若干楽にはなるはずだが、早めに寝て体力を回復させる。次回の旅は成功させたいので、高山病だけでなく風邪予防法も考えておかないといけない。

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